【新聞記事より】年金繰り上げ選択慎重に~減額、長生きで不利に~

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【新聞記事より】年金繰り上げ選択慎重に~減額、長生きで不利に~

2020/06/8 

老齢年金の受け取りは通常65歳からだが、希望すれば60~70歳の好きな時期から始めることができる。このうち60~64歳に前倒しするのが繰り上げ(66~70歳は繰り下げ)だ。基礎年金(国民年金)と厚生年金があれば同じ時期から受け取れる。メリットは決まった収入を早く得られる。1カ月単位で時期を選ぶことができる。手続きは年金事務所でする。
早くもらう代わりに年金は減額される。1カ月ごとに0.5%ずつ金額が減る(繰り下げは0.7%ずつ増える)。1年早い64歳なら6%、5年早い60歳だと30%減額される。しかも「減った金額は一生続く。65歳になれば本来の額に戻ると勘違いする人もいるが、戻らない」と社会保険労務士の望月氏。もらい始めた年金は一定期間を過ぎると合計金額で通常の65歳開始に追いつかれる。この年齢は例えば60歳だと76歳8カ月、64歳は80歳8カ月で、それより長生きするほど金額の差は開いていく。年金事務所ではこうした制度の概要を説明する。開始時期を早くするほど注意が必要だろう。5月末に年金改革法が成立し、1カ月0.5%の繰り上げ減額率は22年4カ月から0.4%に縮小する。「見直しで繰り上げを考える人が増えそうだ」と社会保険労務士の井戸氏。従来より受給額は増え、年金の合計額が65歳支給に追いつかれる年齢も4歳以上延びることになる。
ただ、繰り上げのデメリットは減額だけではない。障害や遺族など他の年金の支給が制限される。傷害のある人を支える傷害基礎年金は、65歳以前に初診日がある傷病が対象となる。「繰り上げると受給上の年齢は65歳とみなされるので、その後で傷害を負ったり、状態が悪化したりしても傷害基礎年金は請求できない」遺族年金は65歳前は老齢年金と併給できない決まりがある。このため年金を繰り上げた妻は、自分が65歳になる前に夫がなくなると、減額した自分の老齢年金か遺族年金のどちらかしか受け取れない。65歳になれば併給できるようになるが、自分の年金は減ったままだ。

繰り上げはいったん請求したら取り消しはできない。制度をよく理解したうえで、自分や配偶者の健康状態なども考えて選ぶ必要がありそうですね。

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